カール・O・サイモントン博士 研究成果
全人的アプローチの成果を図るべく、Dr.サイモントンは約3年間にわたって精神や感情面のアプローチを利用して病気の経過に緒影響を与えるという方法を実施した後、心理面での治療が、実際に身体面での治療に効果を示しているかどうかを科学的に調べる研究を実施し、1978年に下記のとおりその研究成果を発表しました。
まず、医学的に言って不治と考えられている患者を何人かまとめて調べます。このグループに属する患者の生存可能期間は平均12ヶ月とされていました。このように不治と考えられていた患者を159名を、4年間にわたって治療した結果、そのうち63名の人々の平均寿命は癌が判明してから24.4ヶ月でした。これに対して、対照群患者の平均寿命はDr.サイモントンが治療した群の約半分以下という数値でした。また、治療を行った群のうち、死亡した患者の平均寿命は20.3ヶ月でした。さらに、生存している患者の生存期間は、ふつうの身体的治療だけを受けた患者の約2倍であるということ、そして、DR.サイモントンの治療を受けたグループのうち、死亡した患者の場合でも、対照群の約1.5倍以上も生き長らえていたということが明らかになりました。
Dr.サイモントンが治療したグループの患者のうち、1978年1月の時点で生存している患者を分類すると次のとおりです。
癌が消滅した者 14名 22.2%
退縮した者 12名 19.1%
安定しているもの 17名 27.1%
新しくがん細胞が発生した者 20名 31.8%
これらの患者はいずれも末期患者(医学的に不治と考えられていた者)であったことを考えると、このデータは驚異的です。
もちろん、癌の診断を受けてのちの生存期間は病気の一面を表すに過ぎないことはいうまでもありません。どの位長く生き得たかということと同じように大事なことは(実際は、もっと大切なことだと思いますが)、生存している間の行き方の質の問題です。そこで、癌という診断を下される以前の日々の生活行動の内容と、治療を受けている期間と、その後の生活行動の内容を比較することによって、患者の生き方の質を評価する必要があります。この点、私たちのグループの患者はどういう結果を示したかといえば、51%の患者が、ガンの診断以前と同じレベルの生活を維持し、また、76%の患者は発病以前の生活行動の7−8割を維持しているという状態でした。私たちのこれまでの臨床の経験から判断して、末期患者がこれほどの生活能力を維持できるということはまったく例外的な現象と考えられるのです。
このような治療のアプローチの成果から判断して、私たちが到達した結論が正しいものであることをますます確信するようになったのです。つまり、病人自身が積極的、能動的に関与することによって、癌の病気の経過や治療の効果、そして余生の生き方の質にも影響を与えることができるということです。
「がんのセルフコントロール」より抜粋 |